痛い原因は別の場所

読売新聞から

何年も肩こりや腰痛に悩まされてきた。

肩こり、腰痛というと、大なり小なり 誰もが抱えている症状のひとつであるから、

悩みといってもひとつも珍しがられない。

デスクワークという仕事柄と 言ってしまえばおしまいであるけど、

なんとか治そうと努力した中で、 いちばん効果があったのは ランニングである。

ランニングの前後に かんたんなストレッチを行うが、 きっとそれも役に立っているのだろう。

毎日のランニングによって、 10だった症状が、6くらいにはなった。

もうひとつ気がついたことがある。 肩こりや腰痛が辛い時に、

マッサージや指圧を してもらうことがあるのだが、

そのマッサージや指圧をする ポイントのことである。

ある日、こんなことがあった。

肩がこって仕方ないので、 知り合いに紹介された 指圧師のところに行ってみたら、

肩が痛いというのに、 足をもんでみたり、 腰をさすってみたりして、

一向に肩を触らないのである。

あげくの最後まで 肩をもむことはなく、 指圧が終わったのだが、

その時には肩こりは 嘘のように消えていて驚いた。

聞いてみると、 必ずしも痛いところをもめば治る というわけではないと教えてくれた。

大抵、痛いところと別の場所に 原因があるとのことだ。

なるほど。 仕事でも暮らしでも、 何かトラブルが起きた時は、

その原因は別の場所に あることが多いのと 同じと思った。

痛いところではなく、 つながっている場所を 点検すればいい。

それを知ってから、 ここかもしれないと 自分でさすったり、

もんだりして痛いところが 治る場合がおおくなった。

哲学的だと感心した。