「君たちは、反応しているだけ」

東京新聞より

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「君たちは、反応しているだけ」

夜回り先生
水谷修

子どもたち、今、
私はいくつかの大学で
教えていますが、
ずっと感じていることがあります。
それは、ものを考えない学生が、
増えていることです。
なんでも、教わったこと、
学んだことを、何の疑問も持たず、
そのまま受け入れてしまう。
そんな学生が、
とても増えてきてます。
君たちは、どうですか。

私は、その理由は
簡単だと思います。
まずは、小さいときから、
たくさんの本を読んでいないこと。
もう一つは、一つのことに対して、
きちんと語り合ったことがないこと。
これが原因だと思います。

子どもたち、
君たちに聞きます。
この読書の秋、九月から、
何冊の本を読みましたか。
何回、先輩や仲間たちと、
人生や死、
環境問題や経済問題、
政治問題について
話し合いましたか。

まず、君たちの中には
一冊の本も読んでない人も
いるでしょうし、
一回もきちんと社会問題について、
だれかと話し合ったことは
ないかもしれません。

子どもたち、今、
君たちの周りには、
楽しいものが
たくさんあります。
テレビ、インターネット、
携帯電話、メール、
そして、ゲーム。
これらが、君たちの、
ものを考える力を
壊している。
私は、そう考えています。

君たちの一部の人は、
自分たちは、
それらをやっているときも、
きちんと考えていると、
私に主張するかも
しれません。
でも、それは、
きちんと考えているのではなく、
ただ、反応しているだけです。
作られたシナリオの中に、
組み込まれて、
いいように、
反応させられて
いるだけです。
これでは、考える力は
育ちません。

考えるということは、
とても時間を必要とします。
フェイスブックや
ラインで考え込み、
なんの書き込みも
返事もしなかったら、
どうなりますか。
君たちは、
そうならないように、
すぐに思いつきで
反応しています。
これは、
君たちにとって、
君たちの人生とって、
とてもマイナスです。
ぜひ、人との
コミュニケーションは、
会って直接面と向かって
話し合いましょう。
それが、
相手に対する礼儀です。
私はそうしてます。

子どもたち、
もっと本を読んで下さい。
本は、答えを求めません。
君たちの中で、
自由にそれを解釈し、
また、その本を書いた人の
人生を客観的に
学ぶことができます。

子どもたち、もっと直接、
いろんな社会問題を、
両親でも先生でもいい、
先輩でも、仲間でもいい、
真剣に話し合ってください。
直接の言葉での触れ合いが、
君に多くのことを
教えてくれます。
それが、
君たちの人生の
大切な糧となります。